オンラインオリパの個人情報|身分証を求められたら疑う3場面
オリパの教科書 / 記事

オンラインオリパの個人情報|身分証を求められたら疑う3場面

オンラインオリパで個人情報が危なくなるかどうかは、サイトが怪しいかどうかではなく「どの場面で何を渡したか」で決まります。結論から言えば、身分証明書の画像提出が法律上正当化されるのは「サイト内買取・換金」の場面だけです。会員登録やカード購入の段階で運転免許証やマイナンバーカードの画像を求められたら、それは過剰な収集を疑う場面です。

この記事では、①会員登録・購入 ②当選カードの発送 ③サイト内買取・換金 の3場面で「渡して当然の情報」と「渡したら危ない情報」を法的根拠つきで線引きし、登録ボタンを押す前の5分チェック、そして渡してしまった後に使える個人情報保護法35条の消去請求までを1本で完結させます。

注意

オリパの当たりは運次第です。この記事は個人情報の取り扱いに絞った解説であり、購入を推奨するものではありません。金額の上限を決めずに続ける使い方は依存リスクがあります。

オンラインオリパの個人情報対策、まず何をすべき?

結論は3つです。①登録前に古物商許可番号を公安委員会の届出一覧で照合する、②購入だけの段階で身分証画像を求めるサイトは使わない、③渡した後は法35条で消去請求する。この順番が最短です。

オンラインオリパ(ネットオリパ)は、店舗のショーケースで現金を払う形式と違い、氏名・住所・電話番号・決済情報を事業者のサーバーに残します。個人情報保護委員会「令和7年度年次報告」(2026年7月7日公表)によると、2025年度に委員会へ報告された漏えい等事案は総数19,417件、うち民間事業者からは17,139件でした。さらに、民間事業者から委員会へ直接報告された13,345件のうち11,197件(83.9%)が顧客情報の漏えいです。つまり、事業者に情報を預けるという行為自体に一定の確率で漏えいが伴います。

だからこそ、「渡す量を必要最小限にする」ことが最も効く対策になります。以下の3ステップを、登録前・購入時・トラブル後の各段階で使い分けてください。

  1. 登録前(5分): 特定商取引法に基づく表記と古物商許可番号を確認し、都道府県公安委員会の「古物商URL届出一覧」で事業者名・許可番号・届出URLの3点一致を照合する
  2. 購入時(1分): 求められた項目が、その場面で必要な範囲を超えていないか照合する(本記事の3場面表を使う)
  3. 渡した後: 法33条の開示請求で保有状況を確認し、法35条で利用停止・消去を請求する。応答がなければ個人情報保護法相談ダイヤル(03-6457-9849)へ
ポイント

「運営会社情報がない」「相場より異常に安い」といった一般的な詐欺サイトの見分け方は、すでに多くの記事が書いています。本記事はそこから一歩進めて、公安委員会の公表データと突き合わせる具体的な照合手順と、渡した後の撤回手続きに重点を置きます。

オリパとは何か、なぜ個人情報リスクが高まるのか?

オリパとは何か、なぜ個人情報リスクが高まるのか?

オリパとはオリジナルパックの略で、販売者が独自にトレーディングカードを封入して販売する商品です。個人情報リスクが高まるのは、オンライン形式が「購入」と「買取」を同じアカウント上で完結させる構造だからです。

オリパの基本と、オンライン化で変わった点

オリパ自体は違法ではありませんが、中古カードを封入して販売するには古物商許可が必要です。ここは上位記事でも繰り返し書かれている論点なので簡潔に済ませます。

重要なのは、オンライン化によって次の変化が起きたことです。店舗オリパは現金を払ってその場でパックを受け取るため、個人情報を一切渡しません。一方オンラインオリパは、会員登録・決済・配送・買取という4つの接点すべてで情報を残します。個人情報の観点でリスクが生じるのは、店舗オリパではなくオンライン/ネットオリパに限られるという前提を押さえてください。

なぜ「サイト内買取」が最大のリスク集約点なのか

サイト内買取は、法律上の本人確認義務が発生する唯一の場面です。

多くのオンラインオリパは、当たったカードを発送せずサイト内で買い取り、ポイントに換える機能を持っています。この買取は、事業者(古物商)が利用者から古物を買い受ける行為です。古物営業法15条により、古物商は買受け時に相手方の氏名・住所・職業・年齢を確認する義務を負います。だから買取利用時には本人確認書類の提出が正当化されます。

逆に言えば、購入だけの利用者に対して身分証を要求する法的根拠は古物営業法にはありません。事業者が売る側なので、15条の確認義務は発生しないからです。

補足

警察庁「古物営業法の解釈基準等について」(2024年)では、買受け総額1万円未満の場合は本人確認が原則免除されます。ただしゲームソフト・DVD等・書籍・自動二輪等は金額にかかわらず確認が必要な例外品目とされています。トレーディングカードはこの例外品目に含まれないため、少額買取では確認が省略されるケースもあります。

前払式支払手段としてのポイントの論点

サイト内ポイントは、事業者の財務体力とセットで見る必要があります。

日本資金決済業協会「前払式支払手段発行業の概要」(2025年)によると、前払式支払手段に該当するポイント等は、基準日の未使用残高が1,000万円を超えると、超えた日から2か月以内に未使用残高の2分の1以上を供託する義務が生じます(発行保証金保全契約等による代替も可)。買取をポイントで受け取る設計は、換金を後回しにさせる仕組みでもあります。個人情報を渡した上に残高を預ける形になるため、事業者の情報開示姿勢はより厳しく見るべきです。

個人情報が危なくなる主な原因を深掘り

原因は「怪しいサイトを選んだこと」ではなく、4つの構造的な要因です。過剰収集、決済情報の自社保持、越境移転の不透明さ、そしてメールアドレス起点の二次被害です。

原因1: 場面に不要な情報まで一括収集される

最も多い原因は、購入段階で買取用の項目まで登録させる設計です。

購入と買取を同じ会員フォームで扱うと、まだ買取を使っていない利用者からも身分証画像を集めることになります。事業者側の運用効率としては理解できますが、利用者側から見れば「使う予定のない機能のために身分証を預ける」状態です。漏えい時の被害はこの預けた分だけ大きくなります。

原因2: 決済情報を自社サイトに直接入力させている

カード情報の扱いは、実害が最も大きい原因です。

日本クレジット協会「加盟店の皆様へ」(割賦販売法に基づく実行計画、2025年)では、クレジットカード加盟店にはカード情報の非保持化(自社の機器・ネットワークでカード情報を保存・処理・通過させない)またはPCI DSS準拠が求められ、EC加盟店にはサイトの脆弱性対策も求められています。決済画面が自社ドメインのまま、カード番号の入力欄が並んでいるサイトは、この基準を満たしていない可能性があります。

さらに、クレジット取引セキュリティ対策協議会が公表した「クレジットカード・セキュリティガイドライン【6.0版】」(2025年3月4日公表)では、2025年3月末を期限として原則すべてのEC加盟店にEMV 3-Dセキュア(3Dセキュア2.0)の導入が求められました。期限を過ぎた現在、決済時にワンタイム認証が一切走らないECサイトは業界基準を満たしていないことになります。

原因3: 海外運営・海外サーバーで越境移転の説明がない

越境移転は、上位記事がほぼ触れていない論点です。

個人情報保護委員会のガイドライン(外国にある第三者への提供編)およびよくある質問によると、外国にある第三者へ個人データを提供するには、原則としてあらかじめ本人に「移転先の外国の名称」「当該外国の個人情報保護制度に関する情報」「当該第三者が講じる保護措置」を情報提供したうえで同意を得る必要があります(法28条)。

オンラインオリパでは、運営法人が海外にある、あるいはサーバー・カスタマーサポートを海外に委託しているケースがあります。この場合、プライバシーポリシーに移転先国名と保護措置の記載があるか、同意取得の画面が用意されているかが判断材料になります。記載が一切ないまま海外運営を示唆している場合、法28条の手続きを踏んでいない疑いがあります。

原因4: メールアドレスが二次被害の入口になる

漏えいしたメールアドレスは、フィッシングの標的リストになります。

フィッシング対策協議会「2025/12 フィッシング報告状況」によると、2025年12月のフィッシング報告は190,500件、フィッシングサイトURLは55,485件、悪用されたブランドは114でした。分野別ではEC系が約28.4%、クレジット・信販系が約28.3%を占めています。オリパ利用時のメールアドレスがEC・決済系のサービスと共通なら、そこがそのまま攻撃の入口になります。

注意

個人情報保護委員会の令和7年度年次報告では、委託先における不正アクセスに起因する漏えい報告が民間で328件ありました。事業者本体のセキュリティが堅牢でも、委託先経由で漏れる経路が実在します。プライバシーポリシーの「委託先」の記載を確認する意味はここにあります。

原因別の見分け方|3場面別・渡す情報の適正ライン

見分け方の核心は、①購入 ②発送 ③買取のどの場面かで適正ラインが変わることです。法的根拠があるのは③だけなので、①②で身分証を求められた時点で判断がつきます。

下の表は、場面ごとに「通常求められる項目」「法的根拠の有無」「これを超えたら疑う要求」「拒否した場合の実害」を並べたものです。登録画面と見比べてください。

場面(a)通常求められる項目(b)法的根拠(c)これを超えたら疑う要求(d)拒否した場合の実害
①会員登録・オリパ購入メールアドレス、パスワード、決済情報なし(サイトが売る側なので古物営業法15条の確認義務は発生しない)運転免許証・マイナンバーカードの画像ほぼ無し。別サイトを使えばよい
②当選カードの発送氏名、住所、電話番号なし(配送に必要な範囲の契約履行)勤務先、SNSアカウント、家族構成ほぼ無し。発送先の最小情報で足りる
③サイト内買取・ポイント換金氏名、住所、生年月日、職業+本人確認書類、振込口座あり(古物商が利用者から古物を買い受けるため古物営業法15条の確認義務。買受け総額1万円未満は原則免除、トレカは金額例外品目に含まれない)書類の裏面、個人番号(マイナンバー)通知カード査定・入金が止まる=正当な要求
(番外)未成年の年齢確認生年月日、保護者同意の確認契約有効性・利用規約上の要請学生証の全面画像を購入前に要求利用できない場合あり

①で身分証を求められたら、その理由が利用規約とプライバシーポリシーのどこに書かれているかを必ず確認してください。

ポイント

マイナンバー(個人番号)は、法令で定められた事務以外で収集することが禁じられています。オリパの買取でマイナンバーカードを本人確認書類として使う場合でも、必要なのは氏名・住所・生年月日が確認できる表面のみです。個人番号が記載された裏面の画像を求められたら、その場で中止してください。

具体的な解決方法|登録前5分・6項目チェックリスト

解決策は、登録ボタンを押す前に6項目を照合することです。所要時間は5分程度で、公安委員会と消費者庁の公表データを使うので主観に頼りません。

6項目の照合手順

各項目に「どこを見るか/合格ライン/アウト例」を付けました。上から順に確認してください。

  1. 特定商取引法に基づく表記
  • どこを見るか: フッターの「特定商取引法に基づく表記」
  • 合格ライン: 法人名・所在地・電話番号がすべて記載
  • アウト例: 個人名のみ、電話番号なし、住所がバーチャルオフィスのみで連絡手段がメールフォームだけ
  1. 古物商許可番号の3点照合
  • どこを見るか: サイト記載の許可番号と、都道府県公安委員会の「古物商URL届出一覧」(例: 東京都は kouaniinkai.metro.tokyo.lg.jp)
  • 合格ライン: 事業者名・許可番号・届出URLの3点がサイトと一致
  • アウト例: 番号は書いてあるが、一覧に届出URLが無い/届出URLと実際のサイトURLが別ドメイン
  1. プライバシーポリシーの取得項目
  • どこを見るか: プライバシーポリシーの「取得する個人情報」の節
  • 合格ライン: 取得する項目が具体的に列挙されている(氏名、住所、Cookie、行動履歴など)
  • アウト例: 利用目的だけが列挙され、取得項目やCookie・行動履歴の扱いが書かれていない
  1. 委託先・第三者提供と請求窓口
  • どこを見るか: プライバシーポリシー末尾の「開示等の請求」
  • 合格ライン: 委託先の類型が書かれ、開示・利用停止請求の受付窓口(メールまたはフォーム)が特定できる
  • アウト例: 窓口の記載が「当社所定の方法により」だけで連絡先が不明
  1. 海外運営なら越境移転の記載
  • どこを見るか: プライバシーポリシーの「外国にある第三者への提供」
  • 合格ライン: 法28条に基づく移転先国名・当該国の制度・保護措置の記載と、同意取得の画面がある
  • アウト例: 運営法人が海外なのに国名・保護措置の記載が一切ない
  1. 決済画面の作り
  • どこを見るか: カード情報の入力画面のURLと、決済実行時の挙動
  • 合格ライン: 決済代行のドメインへ遷移するかトークン化されており、EMV 3-Dセキュアのワンタイム認証が走る
  • アウト例: 自社ドメインのフォームにカード番号を直接入力させ、認証画面が一切出ない

実物のプライバシーポリシーはこう読む

実際のサイトを見ると、項目3の差がはっきり出ます。

たとえば「dopaオリパ」として知られるDOPA!オリパ(株式会社sinsa)のプライバシーポリシーは、利用目的を8項目に分けて明示しています。この点は合格ラインです。一方で、取得する個人情報の項目そのものの列挙や、Cookie・行動履歴の扱いに関する記載は、公開ポリシー上では確認できませんでした。利用目的が詳しく書かれていることと、取得項目が特定されていることは別の話です。両方が揃っているかを見てください。

最後に運営会社名で行政処分歴を検索する

仕上げは、消費者庁のデータベースで運営会社名を検索する作業です。

消費者庁「景品表示法に基づく法的措置件数の推移及び措置事件の概要」(令和8年6月30日現在)では、措置命令・課徴金納付命令の件数推移と個別事件の概要が公表されています。ここで運営会社名を検索すれば、当選確率や封入内容の表示について行政処分を受けた履歴があるかを確認できます。

補足

IKEDA & SOMEYAの解説(2024年10月1日)によると、改正景品表示法の施行により、故意による優良誤認表示・有利誤認表示に対する直罰規定が新設されました。オリパの当選確率や封入内容の虚偽表示は刑事罰の対象になり得ます。処分歴の確認は、個人情報の管理姿勢を推測する材料にもなります。

ケース別の対処|情報を渡してしまった後の逆算フロー

渡した後の対処は、渡した情報の種類で窓口が変わります。カード情報は即カード会社、本人確認書類は事業者への法35条請求、金銭被害は消費者ホットライン188です。

A) カード情報を渡してしまった場合

最優先はカードの利用停止です。時間との勝負になります。

  1. カード会社の紛失・盗難窓口へ連絡し、利用停止と再発行を依頼する
  2. 利用明細を過去3か月分照合し、不明な決済がないか確認する
  3. 不正利用が見つかったら、その明細を特定してカード会社に届け出る
注意

EMV 3-Dセキュア未対応のサイトでの利用は、不正利用が起きた際の補償判断に影響し得ます。カード会社の約款や個別の調査結果によって扱いが変わるため、「使ったサイトが認証を求めてこなかった」という事実は必ず申告時に伝えてください。

この窓口ができること: カードの停止・再発行、不正利用の調査。できないこと: 事業者側に残ったあなたの個人情報の削除。

B) 本人確認書類の画像・住所氏名を渡してしまった場合

個人情報保護法の請求権を2段階で使います。

  1. 法33条の開示請求で、事業者が何を保有しているかを確認する
  2. 法35条の利用停止・消去請求を出す。個人情報の保護に関する法律35条により、本人は、保有個人データが法18条・19条違反で取り扱われている場合や法20条違反で取得された場合に、利用の停止または消去を請求できます
  3. 2週間応答がない、または連絡先が不通なら、個人情報保護委員会の個人情報保護法相談ダイヤル 03-6457-9849(平日9:30〜17:30、土日祝・年末年始を除く)へ相談する。相談内容は録音されます

請求メールは次の穴埋めで足ります。

``` 宛先: [事業者名] 個人情報お問い合わせ窓口 件名: 個人情報の利用停止・消去請求(個人情報保護法第35条)

[事業者名] ご担当者様

貴社サイト([サイトURL])に会員登録した [氏名] です。 登録メールアドレス: [メールアドレス]/会員ID: [ID]

下記の保有個人データについて、個人情報保護法第33条に基づく開示、 および第35条に基づく利用の停止および消去を請求します。

対象データ: [例:20XX年X月X日に提出した運転免許証の画像、氏名、住所、電話番号] 請求の理由: [例:購入のみの利用であり、当該書類の取得は利用目的の達成に必要な範囲を超えるため]

本書面到達後2週間以内([年月日]まで)に、対応状況をご回答ください。 連絡先: [メールアドレス/電話番号] ```

この窓口(事業者)ができること: 保有データの開示、利用停止、消去。できないこと: すでに第三者へ渡った情報の回収。

C) 金銭被害・返金拒否のケース

金銭トラブルは消費者ホットラインが窓口です。

消費者庁によると、消費者トラブルの相談窓口は全国共通の消費者ホットライン「188」です。郵便番号を入力すると最寄りの消費生活センターにつながり、年末年始(12/29〜1/3)を除き原則毎日利用できます。相談自体は無料です(通話料は自己負担)。

この窓口ができること: あっせん・助言、事業者との交渉支援。できないこと: 個人情報の消去命令。ここが個人情報保護法相談ダイヤルとの役割の違いです。

全ケース共通|その後の二次被害監視

どの分岐でも、最後は二次被害の監視に合流します。

渡したメールアドレス宛にフィッシングが届く前提で運用を切り替えてください。前述のとおり2025年12月時点で悪用ブランドはEC系約28.4%、クレジット・信販系約28.3%です。決済系のメールに含まれるリンクは踏まず、必ず公式アプリかブックマークから残高・明細を確認する運用に変えます。受信したフィッシングメールやサイトは、フィッシング対策協議会の報告窓口(antiphishing.jp)へ報告できます。

まとめ

カード情報=カード会社(即時)、本人確認書類=事業者への法35条請求→PPC相談ダイヤル、金銭被害=188。3つの窓口はできることが違うので、渡した情報から逆算して選んでください。

予防・再発防止のコツ|次のサイトで同じ失敗をしない

予防の要点は、アカウント設計の段階でリスクを分離することです。専用メールアドレス、決済手段の分離、金額上限の事前設定の3つが効きます。

  • オリパ専用のメールアドレスを使う: 銀行・カード・主要SNSと同じアドレスを使わない。漏えいしてもフィッシングの標的が限定される
  • 決済手段を分ける: 上限額を設定できるプリペイド式やバーチャルカードを使い、メインのクレジットカードを直接登録しない
  • 買取機能は使う直前まで登録しない: 本人確認書類は③の場面が来てから提出する。購入だけなら渡す必要がない
  • パスワードを他サービスと共用しない: 漏えいリストを使ったログイン試行に耐えられる
  • 月の上限金額を先に決めて記録する: 当たりは運次第です。使った金額を都度記録し、上限に達したら止める運用にする
注意

オリパは射幸性のある商品です。「取り返す」ための追加購入は金額が膨らみやすく、その過程でより多くの個人情報を複数サイトに預けることになります。個人情報リスクと金銭リスクは同じ方向に増えると考えてください。

まとめ

予防の本質は「渡す情報を場面ごとに最小化し、被害が起きても他サービスへ波及しない構造を作る」ことです。専用アドレスと上限付き決済手段の2つだけでも、被害の広がり方が大きく変わります。

専門家・公的情報の見解|業界団体はオリパをどう見ているか

業界団体の姿勢は「一律の肯定も否定もせず、運営実態で判断する」というものです。利用者側も同じ基準を持つのが合理的です。

一般社団法人日本トレーディングカード協会は2026年7月25日、オンラインオリパに関する基本的な考え方と対応方針を公表しました。

無条件に肯定する立場でも一律に否定する立場でもなく、反社会的勢力や悪質事業者の関与を排除できているかなど実態に基づいて検証すべき

同協会は、オンラインオリパ事業者の加盟審査において、運営実態・取引の透明性・利用者保護への取り組み・法令遵守の状況を踏まえて慎重に判断するとしています。「オリパだから危ない」ではなく「その事業者の実態がどうか」という判断軸は、本記事の6項目チェックリストと同じ発想です。

法制度の側も動いています。BUSINESS LAWYERSの解説(2026年7月時点)によると、改正個人情報保護法が2026年7月に成立・公布されました。規制強化一辺倒ではなく、漏えい等が発生した際に本人の権利利益を害するおそれが少ない場合の本人通知義務を緩和するなど、「緩和」と「強化」を併せ持つ内容です。施行は一部を除き、公布日から2年を超えない範囲で政令で定める日とされています。

補足

本人通知義務の緩和が入るということは、軽微な漏えいでは事業者から通知が来ないケースが増える可能性があります。施行後は「通知が来ないから漏れていない」とは言えなくなるため、自分でパスワード管理とフィッシング対策を維持する重要性が上がります。なお施行日は政令待ちのため、最新の状況は個人情報保護委員会の公表資料で確認してください。

やってはいけないNG対応

最も避けるべきは、身分証の画像をチャットやDMで送ることです。次に、規約を読まずに「本人確認が必要」という表示だけで書類を出すことです。

  • SNSのDMやメッセージアプリで身分証画像を送る: 送信履歴が相手の端末に残り、削除を確認する手段がない。オリパの当選報告アカウントを装ったなりすましも起こり得る
  • 「本人確認が必要です」の表示だけで書類を提出する: どの場面で、どの法令に基づく確認なのかを規約とプライバシーポリシーで確認する。購入だけなら古物営業法15条の根拠はない
  • 書類の裏面やマイナンバー通知カードを送る: 個人番号は法定の事務以外で収集できない。求められた時点で取引を中止する
  • メールのリンクから決済・ログインする: 決済系メールのリンクはフィッシングの主要経路。公式アプリかブックマークから開く
  • 消去請求を口頭だけで済ませる: 電話やチャットでの依頼は記録が残りにくい。日付・対象データ・回答期限を書いたメールで送り、送信控えを保存する
  • 複数サイトに同じパスワードで登録して総取りを狙う: 1社の漏えいが全アカウントに波及する。当たりは運次第であり、登録数を増やしても期待値は変わらない
注意

「返金してほしい」「消去してほしい」という交渉が長引いた場合、事業者側から追加の個人情報(通帳の写しなど)を求められることがあります。返金と消去は別の手続きです。消去請求のために新たな情報を渡す必要は原則ありません。

まとめ

オンラインオリパの個人情報リスクは、サイトの見た目ではなく「場面」で判断できます。

  • 本人確認書類の提出が法的に正当化されるのは、古物営業法15条が適用される③サイト内買取・換金の場面だけ
  • ①購入・②発送で身分証を求められたら過剰収集を疑う。根拠が規約とポリシーのどこにあるかを確認する
  • 登録前の5分で、特商法表記・古物商URL届出一覧での3点照合・プライバシーポリシーの取得項目・請求窓口・越境移転の記載・決済画面の作りを確認する
  • 渡してしまったら、カード情報はカード会社へ即連絡、本人確認書類は法33条の開示請求と法35条の消去請求、応答がなければ03-6457-9849、金銭被害は188
  • 予防は専用メールアドレスと上限付き決済手段、そして買取機能を使う直前まで書類を出さない運用

まずは、いま登録しているオリパサイトのフッターを開いて、古物商許可番号を公安委員会の届出一覧で照合してみてください。それだけで、預けている情報の妥当性が判断できます。

よくある質問

オンラインオリパで身分証の提出を断ると、購入できなくなりますか?

サイトによりますが、購入だけなら断っても実害はほぼありません。事業者が売る側である購入場面には、古物営業法15条の確認義務が発生しないためです。提出を必須とする合理的な説明が規約に見当たらない場合は、別のサイトを使う判断で問題ありません。ただしサイト内買取・換金を利用する場合は、古物商の法的義務に基づく正当な要求なので、断ると査定・入金が止まります。

ネットオリパと店舗オリパでは、個人情報リスクはどれくらい違いますか?

店舗オリパは現金購入で情報を渡さないため、個人情報リスクはほぼゼロです。ネットオリパは会員登録・決済・配送・買取の4接点で情報が残ります。個人情報保護委員会の令和7年度年次報告(2026年7月公表)では、民間事業者から委員会へ直接報告された漏えい13,345件のうち11,197件(83.9%)が顧客情報でした。情報を預ける行為自体にリスクが伴うと考えてください。

dopaオリパのような大手なら個人情報の心配はいりませんか?

知名度だけでは判断できません。確認すべきは、プライバシーポリシーに取得項目が具体的に列挙されているか、委託先と請求窓口が特定されているか、決済がEMV 3-Dセキュアに対応しているかです。DOPA!オリパ(株式会社sinsa)のポリシーは利用目的を8項目明示していますが、取得項目の列挙やCookie・行動履歴の扱いは公開ポリシー上では確認できませんでした。大手でも項目ごとに評価が分かれます。また委託先経由の漏えいは民間で328件報告されています(同年次報告)。

オリパのおすすめサイトを選ぶとき、個人情報の観点では何を最優先すべきですか?

最優先は、古物商許可番号が公安委員会の「古物商URL届出一覧」に届出URLとして掲載され、実際のサイトURLと一致していることです。東京都公安委員会などは古物営業法第8条の2に基づき「許可番号」「氏名又は名称」「届け出たURL」を一覧公表しています。ここで3点が一致すれば、少なくとも実在する古物商が正規に届け出たサイトだと確認できます。番号の記載だけで一覧に届出がないサイトは避けてください。

海外運営のオリパに登録してしまいました。どう対処すればよいですか?

まずプライバシーポリシーで越境移転の記載を確認し、なければ法33条・35条の請求を出してください。個人情報保護委員会のガイドラインでは、外国にある第三者へ個人データを提供する際、移転先の外国の名称・当該国の個人情報保護制度・第三者が講じる保護措置を事前に情報提供し同意を得る必要があります(法28条)。記載も同意画面もない場合は手続き不備の疑いがあります。事業者が応じなければ個人情報保護法相談ダイヤル(03-6457-9849、平日9:30〜17:30)へ相談し、金銭被害があれば188も併用してください。

関連記事